続・妖怪の話
夜は結構涼しい日が増えてきましたね。
けど、うちはなぜだか毎晩寝苦しい・・・部屋にハンモック吊りたい・・・
敷布団の排熱で何かいい方法知ってたら教えて欲しいと切に願う、暦の上では秋真っ盛りの夜長でございますことよ。
しかし食欲だけは暦どおりで困るんです。3割うまい!(by ぎょうざの満州)
イチローです。
次回公演「妖怪レストラン3P(スリーピー)」の情報が続々と解禁になってます。
いろいろ楽しげな企画も仕掛けていってるので、しっかりついてきて頂戴!
すっかり忘れてましたが、去年、「妖怪レストラン2D」の公演後に書いたエントリーの続きでも。
小さいころの思い出、カッパ沼の話。
仲間内での遊び場ラインナップの一つに”カッパ沼”と呼ばれる場所があった。
たぶん直径は10mもなかったように思う。
大きな魚がいるような気配は全くない、ただの濁った水溜りっぽかった。
木造の古い小屋が隣接していて、小屋の側壁は沼側の2面を残して漆喰が完全に崩れ、一風変わった東屋のようになっていた。
沼の淵からは、幅30cm位の石で出来た足場が、沼の中心に向かって真っ直ぐ2mほど伸びている。
小屋も足場も、何の用途で作られたのかよくわからないが、俺たちには格好の遊具だった。
ランク的には危険度:中 ぐらいで、まだ小学校に上がってない小さい子が一緒にいる時は行かないという暗黙のルールがあった場所だ。
(ちなみに危険度:大は、壊れた通気孔から侵入する”国立病院の地下迷宮”など)
ある晴れた暑い日の午後、いつもの広場(ドラクエで言うと、冒険者が仲間を探すルイーダの酒場)に行くと、2つくらい年下のO君が1人で鉄棒に足を掛けて逆さまにぶら下がっていた。
O君はサルのように小柄で身軽だ。そしておそらくは脳も小さくて軽い。
オッス!と声を掛けるとO君は、だらりと下げた両腕を左右にブラブラと振って応えた。
いつからそうしているのか、O君は顔を真っ赤にして口をパクパクさせて苦しそうに見える。
俺「なんしとん?(なにやってんの?)」
O君「・・・コッ、ゴ~・・・マ、カサカ」
俺「え?」
O君「コッゴマカサカ!」
俺「・・・他のみんなは?」
O君「プ・・・ループイ・・・ループタッイ!」
俺「・・・・・」
O君「あー!・・・ン~カア~モ~!」
O君は足を鉄棒から離すと同時に地面に手をつき、くるりと体を返して地面に転がった。
O君「逆さ言葉考えよったら一気に頭に血ぃのぼったわー」
俺「逆さにしゃべっりょったんか・・・」
O君「やる?逆さまごっこ」
俺「いや、ええわ。」
O君の気まぐれで不条理な一人遊びに乗っかると収拾つかないので、みんな大体スルーしていた。
聞くとどうやら他の仲間たちは小学校のプールに行ったらしい。
O君は運動神経はいいのだが泳ぎだけは苦手なのだ。
それなのに・・・
O君「ほんだら、カッパ沼行けへん?」
俺「え?」
泳げないのに水場に行こうというその神経。
比較的怖いもの知らずのバカが多い仲間ウチでも、O君はトップクラスのスリルジャンキーだった。
あまり乗り気はしなかったが、返事を待たずにO君はさっさと公園を出ていったので、仕方なく後を追った。
カッパ沼に隣接する川は、上流で雨が降ったのかいつもより流れの速さも水嵩も増していた。
O君は時々川を覗き込みながら「おお~!」と行きがけの駄賃と言わんばかりにスリルを愉しんでいるようだった。
じきに目印の小屋が見えてきた。
沼は川の向こう岸にあり、小屋の脇にある橋を渡らなくてはならない。
それほど幅の狭い橋ではないが、両脇は別に手すりも何もなく、長い石柱を横にしただけといった粗雑なシロモノである。
下の激流を思うと私は若干腰が引けてしまった。
しかしO君は微塵の躊躇いもなく橋の真ん中まで駆けて行き、上半身を橋から投げ出すようにして流れに顔を近づけた。
一瞬悲鳴が漏れそうになる私を尻目に、”うおー!すげー!”などと呑気に声を上げるO君。
私は肝の冷え具合も限界を超え、O君に危険な行為はやめるように注意しようとしたその矢先!
”ドブン!”
O君がいる橋と私とのちょうど中間辺りの川面に、何かが落ち、軽い水しぶきが上がった。
いや、私の目には対岸の草むらから何者かが川に飛び込んだように見えたのだった。
そしてそのまま水面の少し下あたりを、川の流れを利用して滑べるように進み、水音に気づいたか、上半身を橋の上に戻して振り返ったO君の真下を潜り抜けて行った・・・ように見えた。
私はその場を動けずにいた。
O君が不審そうに戻ってきたので見たままのことを話したら、
「それカッパちゃうん?」
と、O君は素っ頓狂な声を上げたかと思うと、猛ダッシュで川沿いに走っていった。
呆然と見送りながら私は、”カッパなんかおるわけないやん・・・”と呟きながら、頭の中で必死にあの瞬間の光景を、はっきりと”理屈の通るように”再生しようとしていた。
しかしどうしても納得のいくような筋道を立てられないままだった。
だいぶ遠くまで行ったのか、O君はなかなか戻って来なかった。
しかたなく彼が走っていった方向に何百メートルか進んで行くと、O君がなぜか見知らぬオッサンに怒られていた。
聞くとどうやら、カッパらしき緑色の物体を発見し、それに向かって畦道を固めていたレンガを10個以上、引っこ抜いては投げつけていたところを、農作業中のオッサンに止められたらしい。
川を覗いてみると確かに水面下に緑色のモノがある。
しかしよく見れば草の固まりが水になびいているだけだった。
帰り道、O君はブツブツとオッサンに対する文句を言っていた。
私はそれを聞き流しながら、自分が見たのもきっと「草の固まりが土ごと落ちた」んだろうと思うことにした。
そう。確かにあの時、川に落ちたモノは、濃い緑色をしていたのだ。
本来なら、自分の性格上、こんな話は「怪奇!私はついにカッパ沼の主を目撃した!」という具合に盛りまくって話すはずが、あまりに衝撃だったのか、それを触れ回っていたのはもっぱらO君の方だった。
あれ以来、カッパ沼で遊んだ記憶はない。
別に避けていたわけではなく、単純に機会がなかっただけだと思う。
そして多分その翌年あたりに、借家から新築の家へ引っ越し、学区が変わってしまったためもあるだろう。
しかし、今でもカッパという単語を聞くたびに、何十年も経ったとは思えない鮮明さであの光景が私の脳裏をよぎるのだ。
・・・どう〆ればいいかわからなくなるほど長々と書き連ねてしまった。
たぶん本ブログ始まって以来、最長じゃなかろうか。
最後まで読む人がいるのかわからないが、推敲もせずにそのままアップすることにする。
そしてあと数十分で誕生日が終わる。
そう。
今日は私のバースデー。
プレゼントは2ヶ月後、「妖怪レストラン3P」公演会場にて直接お手渡し下さい。
お待ちしております!








